World
「あの日、全ての幸福を失うことになるまでの僕は
ただ無力なだけの子供だった」
それは「桜雪月蛍」より、半世紀近く前から綴られていた物語。
「Saluton, Mondo」
Story
≪side D≫
そこは、一年のほとんどが真っ白な雪に覆われた小さな村。
奴らの言う『物語』という奴は、そんな土地から始まる。
「さあ、君の物語を聞かせておくれ?」
≪side C≫
私には兄がいるーー幼い頃に家族を亡くした私にとって、彼は唯一の肉親だ。
妹の私から見ても外見は美しく、うっとうしいくらいに優しいせいもあってか
一緒にいる女の人がコロコロと変わってしまうのだが
決まって付き合っている自覚のない兄は、はっきりと言って駄目人間である。
そもそも、まともな職についていない兄が
どうやって私を育てたのか甚だ疑問だ。
一体、いつ兄は、まともになってくれるのだろうか?